バイナリーオプションで利益を得た方が、必ず向き合わなければならないのが「税金」の問題です。
「いくらまでなら税金がかからないの？」「海外業者を使っていたらどうなる？」と疑問を感じたことがある方も多いでしょう。
バイナリーオプションにかかる税金の仕組みや、確定申告の必要性、節税のポイントをわかりやすく解説します。
日本人に人気のバイナリーオプション業者！
バイナリーオプションの税金の基本
バイナリーオプションは国内・海外含め多くの業者が存在します。
国内業者と海外業者で異なる税金制度について解説していきます。
| 区分 | 税制区分 | 税率 | 損益通算・繰越控除 |
|---|---|---|---|
| 国内業者 | 申告分離課税 | 一律20.315%（所得税15%＋住民税5%＋復興特別所得税0.315%） | 損益通算・3年の繰越控除が可能 |
| 海外業者 | 総合課税 | 所得金額に応じて5%～最大55%の累進課税 | 損益通算・繰越控除は不可 |
※国内業者とは、日本の金融庁に登録されている業者を指します。
国内の登録業者で取引した利益は、「雑所得（申告分離課税）」に該当し、**一律20.315%（所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%）**が課税されます。
FXと同じ区分で、他の先物取引などと損益通算・繰越控除が可能です。
一方で海外業者での取引利益は「総合課税」の対象となり、給与や副業収入などと合算されて**累進課税（5〜45%）**が適用されます。
所得が高くなるほど税率が上がるため、**最大で55%（住民税10%含む）**になる可能性もあります。
また、損益通算や繰越控除が一切できないというデメリットもあります。
いくらから確定申告が必要か？
バイナリーオプションで得た利益は「雑所得」として扱われますが、その金額やあなたの収入状況によって、確定申告の必要・不要が分かれます。
ここでは、「給与所得がある人」と「給与所得がない人」のケースに分けて、確定申告が必要になるラインを詳しく解説していきます。
給与所得がある人の場合（会社員・アルバイトなど）
本業から給与を受け取っている人がバイナリーオプション取引をして利益を出した場合、
以下の条件に該当すると確定申告が必要になります。
- バイナリーオプションで得た雑所得が、1年間で合計20万円を超えた場合は、必ず確定申告を行わなければなりません。
- この「20万円」の判定は、**収入ではなく利益（収入－必要経費）**で判断します。
- 収入が30万円、経費が12万円 → 利益18万円 → 確定申告不要
- 収入が50万円、経費が25万円 → 利益25万円 → 確定申告が必要
所得税の確定申告が不要なケース（利益が20万円以下）であっても、住民税の申告は原則必要です。
市区町村によって取り扱いは異なりますが、税務署とは別に住民税の申告書を提出しないと、後日問い合わせや追徴課税を受ける場合があります。
たとえば「本業の会社」と「アルバイト先」の2ヶ所から給与をもらっている場合や、副業による報酬がある場合は、たとえバイナリーオプションの利益が少なくても申告が必要なケースがあります。
給与所得がない人の場合（無職・専業主婦・年金受給者・学生など）
給与を受け取っていない場合は、基礎控除額48万円が基準になります。
- 所得控除の制度が変わり、基礎控除額は一律48万円となっています。
つまり、バイナリーオプションによる利益が年間48万円を超えた場合は確定申告が必要です。
- 専業主婦で、BO利益が月4万円 → 年間48万円 → ギリギリセーフ
- 年間50万円の利益 → 確定申告必須
扶養控除や配偶者控除の対象者であっても、バイナリーオプションで得た利益が一定額を超えると控除の対象外になる可能性があります。
例えば、配偶者の年収が48万円超〜133万円未満であれば段階的に控除が減っていくため、扶養から外れるリスクが出てきます。
この影響で、配偶者の税額が増える・社会保険料の負担が発生するといったケースもあるため、必ず利益を把握し、早めにシミュレーションしておきましょう。
副業バレを避けたい人への対策
会社に内緒でバイナリーオプションを行っている場合、「住民税から副業がバレる」ケースが多くあります。
このリスクを減らすためには、住民税の申告時に「普通徴収（自分で納付）」を選ぶことで、会社に副収入分が通知されるのを避けやすくなります。
ただし、自治体によっては自動的に「特別徴収（会社経由）」になる場合もあるので、事前に確認が必要です。
損益通算と繰越控除について
バイナリーオプションで利益が出た場合は税金がかかりますが、反対に損失が出た場合には税金が軽くなることがあります。
そのための仕組みが「損益通算」と「繰越控除」です。
ただし、この制度が使えるのは国内業者に限られるため、海外業者で取引している方は注意が必要です。
一方で、海外業者での損失については、損益通算も繰越控除も一切できません。
これは、海外業者での取引が「総合課税の雑所得」扱いとなり、税制上まったく別枠になるためです。
損失は切り捨てとなり、翌年以降の税金対策には一切利用できない点が大きなデメリットになります。
損益通算とは？
損益通算とは、他の同じ区分の所得との間で「利益」と「損失」を相殺することができる制度です。
バイナリーオプション（国内業者）は、税法上「先物取引に係る雑所得等」に分類され、以下のような金融商品と損益通算が可能です。
- FX（外国為替証拠金取引）
- 日経225先物
- 商品先物取引
- オプション取引（国内）
- CFD（差金決済取引）
繰越控除とは？
繰越控除とは、損失をその年だけでなく、翌年以降に繰り越して利用できる制度です。
先物取引に係る雑所得等では、最大3年間にわたって繰り越すことが可能です。
- 損失が出た年に確定申告をしていること（これが最重要）
- 翌年以降も毎年継続して確定申告をしていること
確定申告のやり方と必要書類
バイナリーオプションで利益が出た場合、一定額を超えると確定申告が必要になります。
その際、必要な書類を揃えて、正しい手順で申告を行うことが求められます。
確定申告に必要な書類一覧と、提出の方法を3パターンに分けてわかりやすく解説します。
必要な書類一覧
確定申告に必要な書類は、次のとおりです。特に海外業者を利用している場合は、自身で取引履歴を保存・整理しておく必要があります。
- 取引履歴（入出金・約定履歴）
- 取引業者の明細や口座情報
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 給与所得の源泉徴収票（給与所得者のみ）
- 本人確認書類（免許証、保険証、パスポートなど）
取引履歴（入出金・約定履歴）
- バイナリーオプション業者からダウンロードできる明細データ
- 各トレードの約定履歴（エントリー時間・金額・判定結果など）
- 年間の入金・出金履歴
利益（収入）や経費を計算するための基礎資料となるため、CSVやPDF形式で保存し、プリントアウトもしておくと安心です。
取引業者の明細や口座情報
- 国内業者であれば、年間損益報告書などが発行される場合があります（あれば必ず添付）
- 海外業者の場合は、口座番号や会社名、プラットフォームの名称を控えておく
書類が整っていないと、税務署から追加説明を求められる可能性があります。
マイナンバーカードまたは通知カード
- e-Tax利用には「マイナンバーカード＋カードリーダー」または「スマホ対応」が必要
- 紙で提出する場合も、「本人確認」として必要になります
マイナンバー制度の導入以降、すべての確定申告にマイナンバーの記載が必須になっています。
給与所得の源泉徴収票（給与所得者のみ）
- 本業の会社から年末に配布される「源泉徴収票」
- 副業・バイナリーオプションの所得と合わせて申告する際に必要
所得税の計算基準になるため、提出忘れがあると正確な課税が行われません。
本人確認書類（免許証、保険証、パスポートなど）
- 紙で申告する場合は、本人確認のための書類のコピー提出が必要
- 通常は、写真付き1点（運転免許証など）または写真なし2点（保険証＋公共料金の領収書など）
マイナンバー確認書類とは別に必要になる点に注意。
確定申告の方法
確定申告の提出には、主に3つの方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法を選びましょう。
e-Tax（オンライン申告）
- インターネットで完結。税務署に行く必要なし
- 還付金の振込もスピーディー（通常1～2週間程度）
- マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマートフォン（NFC対応）が必要
- 国税庁の「確定申告書作成コーナー」から手続き可能
- 手間を減らしたい人
- 遠方に住んでいて税務署が遠い人
- 還付金を早く受け取りたい人
税務署に直接提出（書面提出）
- 紙の書類を作成し、管轄の税務署へ郵送または持参する方法
- 書類の確認や質問がその場でできるため、初心者でも安心
- 申告書類一式
- 控え（写し）と返信用封筒・切手（郵送の場合）
- e-Taxの準備が難しい人
- 申告内容に不安があり、職員に相談しながら進めたい人
税理士に依頼する
- 専門家にすべてお任せできるため、申告ミスのリスクが減少
- 節税アドバイスや損益通算・繰越控除の戦略も相談可能
- 1回の確定申告で3万円～10万円程度（規模・複雑さによる）
- 取引量が多く、自分で集計・整理が困難な人
- 海外業者を複数使っているなど、複雑な取引履歴がある人
- 将来的に事業化や法人化を検討している人
申告期限と罰則について
- 申告期限：毎年2月16日～3月15日
- 還付申告は、翌年1月から可能（最大5年までさかのぼって申請可能）
期限内に申告しなかった場合：
- 無申告加算税（最大20%）
- 延滞税（納付遅延日数に応じて課税）
申告の漏れ・遅れは、ペナルティや追徴課税の対象になるため注意が必要です。
節税のポイントと注意点
バイナリーオプションで得た利益に対して税金がかかることは避けられませんが、正しい知識と工夫で税負担を抑える方法＝節税があります。
特に、必要経費の計上や収支の可視化は、合法的に税金を軽減できる基本的な方法です。
この章では、バイナリーオプション取引において活用できる節税のポイントと、実践時の注意点について詳しく解説します。
経費として計上できるもの
バイナリーオプション取引を行ううえで発生する費用の中には、必要経費として申告時に所得から差し引けるものがあります。
これを活用することで、課税対象となる利益を圧縮し、最終的な納税額を軽減することができます。
経費として認められる代表的なもの
| 経費の種類 | 具体例 | 説明 |
|---|---|---|
| 書籍・教材費 | 投資関連の本・電子書籍など | トレード技術や相場理解のための学習 |
| インターネット代 | プロバイダ契約・Wi-Fi通信費 | 自宅取引・情報収集のために必要 |
| セミナー・講座費 | 投資セミナー参加料・講義教材費 | 自己研鑽・スキル向上のための支出 |
| ソフトウェア・ツール | 有料チャートソフト・シグナル配信・分析ツール | 取引効率化や戦略構築に関わる費用 |
| VPS代・パソコン代 | バイナリー用に契約したVPS、専用PC購入費 | 明確に取引目的なら一部〜全額が対象 |
パソコンや通信費は「按分（あんぶん）」が必要
たとえば、自宅のネット回線やパソコンをプライベートでも利用している場合は、100%経費としては認められません。
この場合は「業務で使った割合」を合理的に計算して、「按分（分割）」する必要があります。
月額ネット料金：5,000円
取引や情報収集に使った割合が50%と判断 → 経費として2,500円／月 × 12ヶ月 = 年間30,000円
経費計上のルールと注意点
領収書・請求書は必ず保管すること
- 経費として認められるには、実際に支出があった証拠（証票）が必要です。
- レシート、クレジットカード明細、銀行振込記録、PDF請求書などをきちんと保存しましょう。
明確に「取引目的」であることを説明できるように
- 私的な支出（旅行費や生活用品）を経費として計上すると、税務署から否認されるリスクがあります。
- 「業務の必要性」がある支出だけを選別しましょう。
帳簿への記録が必要（Excelまたは会計ソフト）
- 領収書を集めるだけでなく、何にいくら使ったかを帳簿に記録する義務があります。
- 会計ソフト（freee、弥生、マネーフォワードなど）を使うと自動化も可能です。
年間収支の記録をつける
経費を記録するだけでなく、バイナリーオプションに関する年間収支全体を整理しておくことが大切です。
- 月ごと×業者ごとに、収入・支出・利益・経費を一覧化
- ExcelやGoogleスプレッドシートで自作表を作成
- 会計ソフトと銀行口座・クレカを連携すれば自動仕分けも可能
- 年末の確定申告準備がスムーズになる
- 利益や損失の傾向がわかり、投資戦略の改善につながる
- 税務署からの問い合わせにも、明確に説明できる
| 月 | 業者名 | 収入額 | 経費額 | 損益 | メモ（取引内容） |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | A社 | 100,000円 | 10,000円 | +90,000円 | 勝率70%、ローソク足活用 |
| 2月 | B社 | 50,000円 | 8,000円 | +42,000円 | VPSで自動化試行 |
バイナリーオプション税金対策まとめ
バイナリーオプションで稼いだ利益には、必ず税金がかかります。
無申告や過少申告はペナルティの対象となるため、「少額だから大丈夫」と安易に考えず、しっかりと確定申告を行いましょう。
また、節税のためには、国内業者の利用・損益通算・経費の活用がポイントです。
バイナリーオプションは利益が出やすい投資ですが、「税金面」まで意識しておくことが、本当の意味での“勝者”につながります。
